鍛冶屋生活ONとOFF

-刀鍛冶のモダンライフを書き綴る-

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平成24年新作名刀展出品刀 

事後報告になりますが、4月の頭に出品等刀が研ぎ上がりました。
研ぎ師の井上聡さんが研ぎ上がった刀を持って来てくれました。
いつもの事ですが、家族と井上さんの前でとてつもない緊張の中、刀身を抜きました。

the competition sword of 2012_a


思っていた通りの覇気のある重花丁子が目に飛び込んできました。
地鉄は一点の緩みも無く、元から先まで時間をかけて観ました。
刀の出来に正直安心しました。


the competition sword of 2012_b


研ぎ師・井上聡氏、白銀師・中田晃司氏、鞘師・森井敦央氏です。
皆に最高の仕事をして頂き出品刀が完成しました。


the competition sword of 2012_c


太刀銘

表 播磨國住人 高見國一作之
裏 平成壬辰年 春山如笑


the competition sword of 2012_d


郭煕(かくき)の「山水訓」

春山淡冶而如笑
夏山蒼翠而如滴
秋山明浄而如粧
冬山惨淡而如睡

春山淡治にして笑うが如く
夏山蒼翠にして滴るが如く
秋山明浄にして粧うが如く
冬山惨淡にして眠るが如し

冬の眠りからさめた木々たちがいっせいに芽吹き、春色に染まった春山が笑っているような穏やかな年になるよう想いを込めて銘を切りました。

茎もよい感じにまとまったと思います。
長い冬を越えて、やっと一振が仕上がりました。



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仕上げ 

時間の許す限りギリギリまで焼入れをしました。
赤かまし、姿直し、鍛冶押しと進めました。
刀身の肉置きが決まると姿が締まってきます。
刃文も薄っすらと見え、仕上がりが楽しみです。

making a groove1

刀身の鎬地に樋を彫る線をケガキ、一気に彫って行きます。
写真のセン屑を見てもわかる様に、粘りのある鉄でした。
粘りがあるとセン屑もクルクルとカールし、
硬いとプチプチと切れた短いセン屑になります。

making a groove2

切っ先は人に例えると顔ですので、締まった樋先に仕上げたいです。
樋先は、表裏同じ長さや形に仕上げ、樋先に向けて光が通るように深さや形を少しずつ彫り進めます。

sand papers for polishing a groove1

これは樋を磨くペーパーです。
ペーパの大きさも刀身に合わせて、元、中、先と三種類の大きさに切ります。
写真には写っていませんが、#60〜#400までのペーパーを使います。
#60〜#80番まではムラを取りながら磨きます。
#100は小ムラを取りながらの磨きになります。

polishing a groove_for the competition sword

#150〜#400までは樋を磨き上げていきます。
この写真は#240で前のペーパーの目を取りながら磨いているところです。

polishment completed

ペーパ最後の#400が磨き終わったところです。

the blade after polishing a groove

最後はラッピングといって細かい磨き粉を刀身につけ、
柔らかい木を使い直接刀身を磨く作業です。
ラッピングが終わり、樋が完成しました。
樋に光を通すと一切の淀みも無く光が通ります。

the blade after polishing a groove2

茎(なかご)#1000番まで細かく研ぎ、茎仕立てに入ります。
普通はハバキを造ってから茎仕立てをしますが、今回は時間の都合、
ハバキの製作をしてからそのまま研ぎに回す段取りになりました。

nakago jitate1

茎の鑢の角度を決めます。
鎬造りの場合は左側から鑢を掛けていきます。
始め、細かい茎鑢をかけます。

nakago jitate2

細かい鑢が掛け終わると、
仕上げに手切りの荒い鑢をかけます。
この時に、荒い鑢を掛け過ぎると下地の細かい鑢の意味が無くなるので、
程ほどに掛けることが難しく、美しい鑢にする秘訣です。
上の写真との違いがわかると思います。

nakago jitate3

目釘穴を開けて完成です。

the blade before polishing

全身はこんな感じです。


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第16回「京都刀剣まつり」のご案内 

第16回「京都刀剣まつり」が明日から開催されます。
全日本刀匠会近畿地方支部として、近畿の刀工達の作品を展示販売いたします。
刀剣・武具・刀装具の大即売会ですので、一日たっぷりとお楽しみいただけることでしょう。

暖かな春の休日を京都にぜひいらしていただければ嬉しく思います。

■「京都刀剣まつり」■
日時(参加日):平成24年5月2日(水)〜5月4日(金) 
        5月2日(水):午前11時〜午後4時40分
         3日(木)及び4日(金):午前9時30分〜午後4時まで
場所:京都市勧業会館(みやこめっせ)特別展示場(地下1階)
   京都市左京区岡崎成勝寺町9−1 電話075(762)2630
ウェブサイト:http://www.miyakomesse.jp/event/2012/05/16-9.php

全日本刀匠会近畿地方支部のブースには、下記の刀工が会場におります。

5月2日及び3日:田中貞豊、明珍宗裕、高見國一
5月4日:田中貞豊、桔梗隼光


私は、この度は小刀5振を出品させていただきます。
(先ほどまで誤って3振と書いておりました)
kogatana_for Token festival1

仕上げ途中の様子です。時間をかけ丁寧に仕上げました。

粗い砥石で研いだ状態での仕上げですので、そのままペーパーナイフとしてお使いいただいても良いですし、研磨の依頼をされ、地鉄や刃文を味わっていただくのも良いでしょう。

kogatana for Token festival2

kogatana for Token festival3

2日と3日終日会場におりますので、どうぞお気軽にお声をおかけ下さい。
新しい出会いがありますことを大いに期待し、お待ちしております。

追伸:お陰さまで、本日小刀は完売いたしました。ありがとうございました!
   まだまだ、刀工たちによる一点もの小品等ございます。
   お越しのご予定がある方は、ぜひお早めにご来場下さい。
   (5月3日19時付)


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鑢がけ→焼鈍 

火造りの終わった刀身に鑢をかけます。
刃の線と棟の線を出し、軽く庵棟に鑢をかけて決めます。
yasurikake_a.jpg
鑢がけが終わると次は焼鈍です。
刀身全体を焼き入れと同じ様に、温度のムラを出さない様に均一に赤めます。
強く赤め過ぎるのは良く無く、変態点を少し超えた位の温度が適温です。
焼鈍のコツは、焼鈍温度から出来るだけゆっくりと冷やす事です。
ゆっくりと冷ます事により鋼のストレスを取り、鋼を軟らかくする事ができます。
annealing.jpg
焼鈍用の箱です。
中身は灰になっていますが、元はアク(鍛錬の時に使う藁を燃やした物)です。
灰が少なくなってくるとアクを燃やして足します。
赤めた刀身をアクの中に差し込み、一晩置いておきます。

annealing2.jpg

翌朝、刀身を取り出しました。
写真でもわかる様に、5振りの焼鈍が終わりました。
completed.jpg
次の工程では刀身の曲がりを直し、刃区(はまち)を切ります。
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素延べ 

ブログの更新を怠っている上、ブログの内容が作刀に関する事ではないと、読者の方から少々お叱りをうけ(笑)、今日から少しずつ更新して行きます。


sunobe_a1.jpg

これは、今年のコンクールの出品刀の仕事です。
造り込みが終わり、小沸かしを掛けながら延ばした所です。
上がりの目方は400匁目程です。
梃子棒を切り離し、これから手槌一本で素延べ火造りと進めていきます。


sunobe_a2.jpg

造り込みは甲伏せです。
フクレが出たり、アクシデントも無くここまで延ばす事が出来ました。
芯鉄も真ん中に綺麗に入って伸びています。

<過去の記事は↓のURLをクリックして下さい>

下鍛え
http://kuniichitakami.blog68.fc2.com/blog-entry-331.html

鍛錬−下鍛え→上鍛え−
http://kuniichitakami.blog68.fc2.com/blog-entry-334.html
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